「暁天坐禅会vol.163」(静岡市) | 宗教法人 一乗寺

その他

  • 🌞暁天(ぎょうてん)とは、明け方の空という意味で、
    暁天坐禅(きょうてんざぜん)とは、早朝に行う坐禅のことです。

     

    第163回坐禅会(参加者:10名)



    台風10号の影響により、東海地方では台風接近前の8月29日頃から断続的に強い雨が降りました。(現在は、落ち着いており、当方では二次災害もございません。)

    31日夜から未明にかけて、当山付近も大雨に見舞われました。皆様の地域は大丈夫でしょうか?



    正直…1日早朝の坐禅会は直前まで開催するか迷いましたが、幸い定刻には雨も止みましたので通常通り行うことにいたしました🙏

    このような天候なので、ご参加される方も少ないかな…と思いましたが、本堂の扉を開けると一人また一人と参禅者が現れ…10名の方にご来山いただきました。お足元の悪い中誠にありがとうございました🙇



    坐禅後の茶話会では、それぞれの地区の情報交換をしました。折しも、2年前の台風15号の際に床上浸水された御一家もお見えになり、お話を伺うことができました。今回は、難を逃れたとのことでほっと胸をなでおろしました。

    ※(前回の教訓を活かし)当寺の駐車場で、自家用車の一時避難を受け入れました。



    🌪️



    「参加者の安全を考えれば、中止にするのが妥当ではないか」

    「いや、このような時だからこそ坐禅の場を開くことに意義がある」

    「安全第一が大前提だが、状況を見計らい臨機応変に対応することも重要かと。それが、緊急時に正常バイアスを切り替える予行練習にもなる」



    ・・・例によって、寺院運営の選択を迫られた時には、脳内会議が始まります。理屈屋や否定屋の声が大きく、開催をやめようかと迷っていた際、亡き師匠や先師の言葉を思い出しました。



    『淵黙如雷』

    (えんもくらいのごとし)



    *深い淵のように沈黙を守り、黙って静かに坐っているだけで、百雷のような力や響きがあるという意味。

    「悟りとは何でしょうか?」と質問してきた弟子に対して、お釈迦様が深く黙した。その淵黙が、雷のような大きな声を発したかのように聞こえた、という故事に由来する禅語です。



    これは、洞慶院(静岡市葵区)にある茶室の床の間に掲げられている掛軸の言葉でもあります。台風10号の接近に伴い、雷の音と不安が大きくなる中、亡き祖父である師匠が書いた茶掛けの言葉に励まされました。



    ▼ https://www.facebook.com/share/gnUVvxef27GKLkzm/?mibextid=WC7FNe



    また、そんな師匠が生前よく話していたのが、さらに上の師匠であり梅花流詠讃歌創設に携わった洞慶院独住5世・丹羽仏庵老師の逸話です。



    福井県にある曹洞宗の大本山永平寺の監院を務めていた仏庵老師が、若き修行僧らと僧堂で坐禅を行じていた時、地震で一瞬建物が揺れたそうです。動揺する修行僧たちに、、



    「あわてるな!!」

    と大喝一声を発しました。



    「窓枠から障子が外れた時、はじめて慌てなさい。それまでは、坐禅に集中すべし。」と諭したそうです。



    これらの逸話を前にした時、自分の不甲斐なさを痛感します。

    『維摩経(入不二法門)』の章にある「維摩の一黙、雷の如し」、あるいは西洋のことわざ「沈黙は金」という言葉とは間反対に、ついつい僕はしゃべりすぎてしまいます。

    (今もこの長文です💧



    もちろん「ただ黙ること」と、千思万考の末「沈黙を選択すること」では重みが違いますし、地震が発生した際には直ちに行動を起こすことが肝要であることも理解しています。



    言葉を発せば、そこには必ず主観が働き、勝手に評価したり分断したり、無意識に誰かを傷つける可能性もあります。

    有事の際に大事なことは、むやみに騒いだり、不確かな情報を拡散したり、動乱を煽ることを厳に慎むことだと思います。



    いざ災害が起きた時、正しい判断ができるかどうか。そもそも身心が無事であるかは、その時になってみないと分かりません。



    しかし、だからこそ普段の備えや行動がいかに大切か…痛切に感じます。自分の嫌なところを一番よく知っているのは、自分自身です。まずは、他人様や社会に対してアレコレ言わず、自分の心と真っ直ぐに向き合う姿勢を忘れずに生きようと思います👏



    🌱次回の「月例坐禅会」は、9月15日(日)あさ5時半~/予約不要・参加無料です。

    ※足を組むのが困難な方には、イス坐禅をお勧めしております。
    Like
    Like Love Haha Wow Sad Angry